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「カレーライフ (後編)」
・・・無我夢中で漕ぎまくった自転車により
マサオの切れ痔は相当のダメージを負っていた・・・
血だらけの患部に愛用の「ボラギノール」をたっぷり塗ってもらい、
そして念のためノリコがたまたま持ち合わせていた
「羽付きギャザーのサラサーティ」をマサオのアヌスにあてがった・・・。
「ノリコありがとう・・・これで全力でカレー作りに専念できるよっ!」
「・・ユー・アー・ウェルカムッ!
私の薬指はマサオのアヌスのためにあるのだからっ!」
「コ〜イツ〜ッ!! ハハハハハ・・・」
「・・・さてっ!!・・・それではカレーを作らせてもらいますかっ!!!」
一生一代のカレー作り、
(オヤジ、見ているか? オヤジの言ってたこと少しわかってきた気がするよ。単純な料理に見えるカレー・・・でも本当はどんな料理よりも奥が深くて難しい・・・そのカレーと正面から向き合い、そして美味しさを極めることによりボクと言う人間の深さも増していく・・・そしてそれが人への優しさになり、人の、そして自分の幸せになる。・・・オヤジ、本当はもっと早く言ってあげたかった・・・オヤジすまぬ・・・でも本当に・・・
オブるリリリリリガードッ!!!)
・・気持ちを引き締め包丁を握りしめたマサオ・・・『闘志!!!!』
まずは野菜からっ!!
玉葱の皮をむき、半分に切る。それでOK!
次っ! ジャガイモはよく洗い、芽を取り皮ごと使う・・ヨシッOKッ!!
そしてニンジンッ! コロコロまわしながら大きめの乱切りでよいっ!!
次にゴーヤッ! 縦半分に切ったゴーヤは中にある種と綿を
スプーンできれいに削ぎ取り、1〜1.5cmくらいの厚めのスライスに
しておく、量はYOUの好みでっ!!
はい次はっ! ブタ野郎だっ!
脂厚めの三枚肉をまずは水でよく洗い、ブロックのまま、
4cm間隔ぐらいで少し深めに裏表へ切り込みを入れておく・・・
・・闘志あふれるマサオのカレー作りを真剣な眼差しで見つめるノリコ・・
そこには温かく見守るノリコの優しささえ感じる・・
「ノリコ、これはオレのカレーじゃない・・・
オレとノリコ2人の力が合わさってできる最高のカレーなんだ・・・」
熱く語るマサオ・・・だがっ!! ここで気づいてしまう・・・
何とマサオは生姜とニンニクを買うのを忘れてしまっていたのである・・
オロオロとするマサオ。
すべてが水の泡! カレーのあく! 和泉元彌の返り咲き!!
・・つまり「無駄」になってしまう・・テンパルマサオ・・・
どうしたらいいのか途方に暮れるマサオに・・・ノリコは近づき、
「振りかぶり式」のビンタを喰らわした・・・「バッチ〜ンッ!!」
・・・「いいのっ! それでいいのっ!!
そうやってまた1つ幸せを自らの手で失うのっ!!!」・・・涙のノリコ・・
『ノリコの笑顔を取り戻す』そう決めたのではなかったのかマサオッ!
・・しっかりしろオレッ!!
・・我にかえるマサオ・・・
「ノリコ・・実はオレ・・生姜とニンニクを買い忘れてしまったみたいなんだ・・だから・・今からまた・・・」
「ううん・・・私にやらせて・・・その役目・・10分・・いや・・6分でいいわ・・
私に行かせてちょうだいっ!・・・」
「・・6分って・・そんなに急いだらノリコの身体が壊れてしまうよ・・・」
「・・ううん・・・たとえそれでもいいっ! だってマサオ、言ったじゃない。
このカレーは私とマサオの二人で作る最高のカレーにするんでしょ?・・・」
・・涙のマサオ・・・こぼれる涙が3滴、鍋に落ちたことを
マサオは気づきはしなかった・・
しかしこれが後から素晴らしいカレーの隠し味になることは
この時、マサオは知る由もなかった・・・
・・「わかったっ! ノリコッ、まかせたぞっ!」
「うんっ! 行って来るよっ!」二人は熱く握手をかわした・・・
6分にセットした腕時計のストップウォッチのスイッチを
入れるやいなや・・・
「・・・じゃ、バタバタバタッ・・ガチャッ!・・・」
・・・いつでも自分に厳しい女である・・・
・・・・それよりオレのバカッ! バカッ! バカッ! バカッ!
・・・カレーライフ中編(買い物編)で生姜とニンニクのことを書き忘れ・・・いや買い忘れなければノリコはこんなことしないで済んだのに
・・・すまぬノリコ・・・
・・・でもっ! いつまでもクヨクヨしてはいられないっ!
・・・その間にできることをしておこうっ!・・・
下ごしらえしたゴーヤ以外の野菜と三枚肉をまず圧力鍋に全部入れようっ!(ゴーヤは最初から入れると煮崩れる上に苦さが全体にまわってしまうのでちょっと待ってくれっ!)
そして「水ココマデッ!」というラインが鍋の内側に書いてあると思うが、それを無視して1cmほど多く水を入れる。
そこに乾燥昆布1枚とマギーブイヨンを一粒、それに後は大きめにスライスした生姜と大きさにもよるがニンニクを3〜4粒入れる・・・
これでOKッ!・・・・
・・・と、そこへノリコが・・・「ゼイゼイ、ハアハア」
「ノッ、ノリコ・・・大丈夫?・・・」
「・・ゼイ・・ハァ・・6分切ったぜコノヤローッ!
5分と43秒ですわっ!!・・・どやっ!!!」
「・・・す、すごいですね・・・で・・生姜とニンニクは?・・・・」
「オッ、オゥッ! これやっ!・・あと・・煮込んでいる間、少し時間があると
思ったから「信濃屋(酒屋)で酒とツマミも買うてきたよ。ヘヘヘ・・・」
(・・・す、すごい・・その5分43秒でかっ!?・・・さすが元ヤンキー、根性はある・・・だが・・・気持ちの前のめりなのだろうか?・・今このシュチュエーションでおつまみに「ジャガリコのカレー味」はナンセンスである・・・)
・・ノリコに買って来てもらった生姜とニンニクを入れ、火をつける。
お湯が沸き上がったら「コポコポ」言うところまで火を落とし、アクを取り30分煮込む・・・30分後、再度アクと脂をすくい取り、水が減った分はもう1度ラインより1cm上まで水を足し、再度強火で沸かす・・・
沸いたら泡盛を100cc入れ、強火のまま蓋をして、「シュシュシュ」と
言い出してから40分圧力鍋にかける・・・40分後、火を止め、
自然に圧力が抜けるまで待ち(約25分?)、そして鍋の蓋を開ける
(※ちゃんと圧力が抜けたのを確認してから蓋を開けましょう)。
・・もう1度、火をつけ沸かす。沸かしながら上に浮いた豚肉の脂をきれいに取り去る。そしたら火を止め粗熱を取る
(沸かしながらの方がきれいにアクや脂を取りやすい)。
三枚肉を別のボールに取り分ける。昆布も取りだす。
出枯らし昆布は千切りにしてダシと醤油で炒め、粒胡麻を振りかけるだけで1品、酒のオツマミとしてできてしまうので ぜひっ!!
ジャガイモも別のボールへ崩さないように気をつけて取り分けておく。
そしてポイントは残りの野菜は取ったスープとともにミキサーにかけ粉々にし、また鍋に戻す。野菜そのものを食すよりもミキサーで粉々にした方が野菜の旨さがカレー全体に広がり、マイルドになる上、
身体にもヘルシー。
三枚肉のブロックはまず縦半分に切りそれを3cmくらいの
「縦長サイコロ」にし、ジャガイモとともに圧力鍋に戻す。
ゴーヤは別の鍋に沸かしたお湯に入れ、沸きかえしたらザルにあけ、そのまま圧力鍋に「ザブンッ!」
今度は鍋の内側のラインまで水を足し、火をつけもう1度沸かす
(他の鍋でもよろしいが洗い物を増やしたくないのでそのまま圧力鍋で作ってしまおうっ!)。
アクと脂が出てくるのできれいに取ったらそこにゴールデンカレーの
辛口を入れ、お好みの味、とろみになるまで煮込む。
今まで色々なカレーのルーを食してきたワタクシでありますがゴールデンカレーの辛口が一番良いものとしました。ゴールデンカレーは他のカレーのルーよりも少しコクが強く、それを味が濃いと判断される方もいると思うがそんな方はできあがりに牛乳か生クリームを少し入れてあげるとちょうど良い・・・
ちなみにワタクシは「牛乳を入れる派」でございます・・・ヨロシク・・・
・・こうして約2時間の死闘の末できあがったマサオとノリコの
「トロットロッ三枚肉とほろ苦ゴーヤーの何も言えなくて・・・夏カレー」
・・・カレーができあがるまでの間、買って来ていたビールとジャガリコ(カレー味)で待っていたほろ酔いのノリコが闘い終わったマサオにそっと話しかけた・・・「できたのねマサオ・・・私たちのカレー・・・
もっと早くこうしていたら、もっと早く二人で力を合わせて生きてきていたら・・・私たちこんな風にはならなかったかも・・・
でも今日わかったわ・・私も一人では生きていけない・・・マサオ、
あなたもそうなんでしょ?・・・マサオ・・・私・・ううん・・なんでもない・・・」
「ノリコッ! オレも今日色々気づいた事がある・・・うん・・・
まずはお互い、振り出しに戻ってみないか・・・」
「・・・そうね、同感!・・・ねえ・・・それより・・
私おなかがペッコペコのペッコリーナよっ!
早くそのカレー食べさせてよ〜っ! お〜ね〜が〜いっ!!」・・・
「って、はああああああっ???・・・いまっ!?・・・
今なわけねーじゃんっ!!
カレーは一晩置かないとだめなのっ!!!
一晩置くことで旨味成分が出て美味くなるんでしょ〜があっ!
もうこれだからオマエは〜・・・もう笑っちゃうよ・・・
カレーのことな〜んもわかっちゃいないんだからっ! 何がお〜ね〜が〜いっ!!だっ・・
本当にバカだな・・・ハハハハハ・・ハハハ・・ハハ」
「イラッ!・・・・・・バッチ―――――ンッッ!!!!」
―――――――――――――――――・・・
・・・夕陽が赤く沈む日は必ずあの日のことを思い出してしまう・・・
あれから5年・・・
ノリコ、オマエ元気か?・・・今なにやっているんだろうな?・・・オレあれから頑張って今自分でカレーのお店「カレー愛ランド」やってるんだ・・・大好きなカレーに囲まれて今とっても幸せだよ・・・
ここまで来れたのもノリコおまえのおかげなんだ・・・あの時作ったカレーの味は35年の人生の中で最高のものだったよ・・・おまえにも食べさせてあげたかったよ・・・でも・・・あれから何度作っても
あの味にならないんだよなぁ〜なぜだろ?
・・・同じレシピで作っているのになぁ・・・ハハハ
(なぜならあの時、3粒の涙が鍋に入ったことを
マサオは知らないからである)
あの時のビンタの痛さが今でも心に染みわたる。ありがとうノリコ・・・
・・・夕陽が赤く沈むある日のことである・・・
・・・ウィーン・・・「あっ、いらっしゃいませーっ!・・・」
「あっ、すいません。『店長自慢の愛ランドカレー』の辛口をテイクアウトでひとつお願いできますか?」
「かしこまりましたっ!・・・アイランドカレーのからく・・・ち・・・・・・って・・・きっ、きみはっ!!・・・・・」
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